2022 年 78 巻 6 号 p. II_592-II_602
高齢者の交通事故,免許返納に関しては,今後さらなる高齢化を迎える我が国において対処すべき重要な課題であるが,都市部と非都市部では取り巻く環境から同様のアプローチでの解決は困難である.本研究は愛知県豊田市の公共交通機関が乏しく,高齢化率が高い中山間地を対象として,超小型電気自動車を活用した高齢者が自らの意思で自在な移動を達成することを目的とした地域実践の取り組みである.
実践取り組みを示した上で,地域で利用可能な超小型EVの利用促進に向けて,アンケート調査データに基づき共分散構造分析を行った.分析の結果,利用意向は車両自体の評価に加え,主観的価値観が直接的,個々人の運転特性が間接的に影響することが明らかになった.本研究を通じて,高齢者の意識の特性別に利用促進策を示され,今後地域でのさらなる実践を進める知見を得た.