2022 年 78 巻 6 号 p. II_71-II_83
本研究では国際交通における無害通行権の考え方,国内での交通政策基本法に至る移動の権利に関する議論の整理,土地収用の考え方と具体的な方法の整理,民地における囲繞地通行権の考え方と解決方法の整理をそれぞれ行った.その結果,共通概念として通行側の利益を重視していること,通行は無害通行が原則で,費用が発生する場合は通行側が負担するのが基本であるということがわかった.
現行の交通政策基本法では移動が基本的人権としては認められていないため,囲繞地通行権のような法的な権利の半自動的な設定は難しい.だが,新幹線整備には公益性があること,対立地域間での局所的な整備水準の観点では,整備済み地域が未整備地域に対して整備を阻止する合理的な理由が存在しないことなどの考察を行い,一定の解決の方向性を示した.