日本臨床救急医学会雑誌
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原著
心肺機能停止症例の医療費についての検討
中村 義博渡辺 謙介堀内 郁雄石丸 剛
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1998 年 1 巻 2 号 p. 190-193

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抄録

来院時心肺機能停止症例194例の蘇生術費用および入院費用について検討した。194例のうち151例に心肺蘇生術(以下CPR)を行った結果37例が心拍再開し入院となった。1週間以上生存したのは7例で,社会復帰を果たしたのは3例のみであった。蘇生術を施行した151例の総医療費は26,902,150円であった。推定心停止時間と予後を検討してみると社会復帰例の3例はいずれも10分未満であり,10分以上のものは最終的にすべて死亡した。推定心停止時間が10分以上の140症例の医療費は約2400万円,20分以上の118例だけでも1,700万円の医療費がかかっていた。これらの医療費は心肺蘇生術の適応非適応のガイドラインを設けることができれば節減できると考えられた。社会復帰率を向上させるためにはbystander CPRを市民に普及させる努力,救急救命士の技術向上のための病院実習や特定行為の拡大,搬送時間の短縮のためにドクターカーやヘリコプターの導入などを検討すべきである。

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© 1998 日本臨床救急医学会
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