2022 年 78 巻 6 号 p. II_717-II_729
本研究では地域における生活の足を確保する取り組みである「コミュニティ交通」の持続可能性に影響する要因を明らかにするため,各地の運行主体に対するアンケート調査(回答数67件)とヒアリング調査(回答数10件)を行った.その結果,主に以下のことが明らかとなった.1) 5年後の運行継続に対して人材確保・財源確保が困難な団体が4割程度ある.2) 運営主体が交通事業者の内部事情を把握していない事例が少なくない.3) 行政以外の団体が経営的に自律した運営を行っている場合は,移動の足の確保だけでなく地域全体の価値向上を意図した運営を行っている.4) 人材や財源確保に影響する要因を分析した結果,運営の評価・改善の実施状況や自治体計画への位置づけの有無など,運営主体やそれを取り巻く「ひと」に関わる要素が多く関係する.