2022 年 78 巻 6 号 p. II_730-II_738
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行は,利用者から徴収する料金収入に依拠し,公共的サービス事業の運営を行うコンセッション事業を担う民間事業者の財務に大きな影響を与えうる.本研究では,今般のパンデミックのような大規模な需要減少に伴うコンセッション事業への財務的影響を分析するためのモデルを定式化する.さらに,政府によるコンセッション事業への財務支援の方式として,事業者に一括補助金を付与する「グラント方式」と,債務返済契約を維持しつつも,契約期間の延長や契約義務の一部を免除する「猶予方式」に注目し,2つの方式の優位性を定性的に比較する.その結果,グラント方式の方が,猶予方式よりも,望ましい経済的支援策であることを示す.