2023 年 79 巻 1 号 論文ID: 22-00143
鋼管部材へのCFRP接着に関する研究は,有限要素解析による検討が多く,せん断遅れ理論やCFRP端部の接着剤のはく離に対するエネルギー解放率に関する知見が十分ではない.本研究では,多層のCFRPが段差を設けて積層された鋼管に対するエネルギー解放率や,それが収束する段差長の設計方法を提案した.多層のCFRPが積層された条件のもと,せん断遅れ理論から導出される連立微分方程式を固有値解析理論を適用した数値解析を実施することで,段差長と接着端部でのエネルギー解放率の関係を明らかにした.また,エネルギー解放率が収束するための段差長の式を導出し,その近似式を与えた.本研究で提案した近似式を用いて段差長を設計することで,構造系全体のひずみエネルギーから導出される簡易な式でエネルギー解放率が算出できる.