本研究は東日本大震災による津波被災世帯の居住地移動(2007年-2020年)を電話帳に基づく追跡で明らかにした.主たる結論は以下の通り.1)対象とした岩手県・宮城県の被災10市町から両県の主要9都市への転出人口シェアは57%を超えている.2)分析対象はNTT電話帳登録者,被災10都市98,991世帯及び主要都市320,678世帯である.電話登録率は2012年で世帯数比61.5%,2019年は46.9%である.現住所が判明したのは74.7%,74,000世帯,うち転居者は39.2%,38,800世帯であった.転居者の35.7%,13,986世帯の住所が明らかとなった.これの旧居住者に対する比率は14.0%である.3)同姓同名による複数マッチングは3,800世帯の約半分1,831世帯となっている.本研究で対象とした登録者と新旧居住地の住所はデータベースとして保管されている.
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