2023 年 79 巻 13 号 論文ID: 22-13017
既設鉄道盛土の耐震診断で用いる土の強度に関する設計用値(以下,設計用値)は,現地の盛土より採取した不攪乱試料もしくは密度検層等に基づく再構成試料を使った三軸試験により設定することを基本としている.現状の設計用値は,軌道から離れた代表点で採取した試料の調査結果に基づき設定し,列車の繰返し荷重に伴う盛土の密実化等の既設盛土の不均一性を考慮できない.
本研究では,耐震診断手法の高度化を行うことを目的として,表面波探査により面的に評価したせん断波速度分布および不飽和状態での強度特性を考慮する設計用値の評価方法について検討した.その結果,表面波探査を用いることで盛土内部の密度分布を推定でき,不飽和土の強度特性を考慮した盛土の耐震性評価を行うことで,従来よりも合理的な耐震診断が可能となることを確認した.