2023 年 79 巻 15 号 論文ID: 22-15024
本論文では,異方性材料の面外波動問題に基本解近似解法を適用し,その有効性を検証した.基本解近似解法はメッシュフリー型の数値シミュレーション手法であり,対象とする問題の基本解を用いて近似解を表現する.解表現に用いる近似係数は,境界条件に基づく連立 1 次方程式を解くことで決定される.本論文では,この解くべき連立 1 次方程式の取り扱いをもとに解法を分類し,比較に用いた.数値解析例では,入射波の散乱問題を考え,基本解近似解法によって得られた解と境界要素法による参照解との比較を行った.解析結果から,異方性の影響がそれ程強くない材料に対しては,基本解近似解法は解の収束性に優れることが確認された.一方で,異方性の影響が強い材料に対しては,基本解近似解法は解の収束性が低下することが確認された.