2023 年 79 巻 15 号 論文ID: 22-15051
橋梁性能を表す代表的な指標である列車通過時の桁たわみの地上計測には多大な労力と費用を要する.本研究は,より効率的な計測手法として,走行車両上で計測された軌道高低変位に基づく桁たわみ推定法を検討した.実際の営業車両に搭載されている軌道検測装置の設置位置を反映した理論分析により,先頭と最後尾車両で計測された軌道変位の差分が準静的な桁たわみに比例すること,これにより先頭と最後尾車両の軌道変位の差分最大値に変換係数を乗じて桁たわみ最大値を推定できること,その感度は軌道変位の計測位置により変化すること,を明らかにした.最後に,実路線で計測した軌道変位から提案手法により推定した2橋梁の桁たわみ最大値は,地上計測の結果と誤差10%以内で良好に一致することを実証した.