2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17015
和歌山県南西部,田辺湾湾口部に位置する田辺中島高潮観測塔では気象及び海象の連続観測が行われており,その波浪データおよび風向風速データに基づき現地波浪の特性の解析および台風接近時における高波浪条件について解析を行った.
観測塔における波浪特性は季節による変動が大きく,冬季に風波の卓越が認められた.観測期間中に接近した台風の最接近前には,うねり性波浪の特徴を示す波形勾配が0.005から0.01の領域に集中した分布が確認された.2018年9月の2つの台風接近時の波高の時間変化特性を調べるために暴風半径の長軸長さを考慮した無次元距離を導入し,個別波高が閾値を超える割合との対応を解析した.その結果,この2つの台風に関して線形な割合の変化と暴風半径程度に接近した際の高波浪発生頻度の急激な上昇が確認された.