2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17031
東日本大震災では,津波により海岸堤防裏法尻の地盤が洗掘され,堤防が破堤し,浸水被害が拡大した.洗掘による被災メカニズムを解明できれば,海岸堤防の粘り強さの強化に繋がる.オープンソース流体解析コードDualSPHysicsは,非ニュートン流体モデルが実装されており,ダム崩壊などの洗掘現象への適用性が示されている.しかし,堤防越流による洗掘の解析事例は少なく,非ニュートン流体のパラメータもわからない点が多い.本研究では,DualSPHysicsを用いて,三戸部らの水理実験の再現計算を行い,洗掘現象に対する非ニュートン流体モデルの課題と改善案を検討した.その結果,浜堤背後の地盤を3層に分け,各層に非ニュートン流体の密度と動粘性係数の設定を行い,すべての津波流入量に対して層厚を設定することで,洗掘現象の再現性を高めることができることを示した.