2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17032
2022年1月15日13時頃(JST),フンガトンガ火山で大規模な噴火が発生した.噴火に伴い,太平洋沿岸各地で気圧変化と水位変化(津波)を観測した.日本沿岸では,約2hPaの気圧変化に伴い,予想到達時刻よりも数時間早く津波を観測し,複数の観測点で最大津波高さが1mを超えた.しかし,日本沿岸広域において,最大水位を説明できる外力要因は解明されていない.本研究では,日本周辺を対象に津波の再現計算を行い,複数の外力条件による計算結果と観測記録との比較により,最大水位要因を推定した.その結果,東北地方沿岸の観測点では,共振周期成分が湾内で増幅を引き起こしたことが要因であることがわかった.一方で,奄美や四国では気圧外力による水面の励起に加え,水面上を伝播する過程で発生した増幅機構が寄与した可能性が示唆された.