2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17055
沿岸開発を行う際には,環境アセスメントが実施されるが,局所的な影響解析にとどまり,広範囲への影響評価は行われない.しかし複数の湾灘からなる瀬戸内海では,隣接海域にまで影響が及ぶ可能性がある.本研究では,非構造格子三次元流動モデルを用いて,地形改変が瀬戸内海の流動に及ぼす影響を解析した.海岸地形と水深のみが異なる過去地形と現在地形において計算結果を比較した結果,水温・塩分分布の変化は多くの海域で局所的であった一方,大阪湾では河川水の拡がりが変化し,差が顕著であった.潮汐に及ぼす影響を解析した結果,固有振動周期が減少したことでM2分潮との共鳴条件が強まることがわかった.また,大阪湾の振幅が減少したことで,大阪湾‐播磨灘間の水交換量が減少し,播磨灘中央部の循環流規模が変化したことが明らかになった.