2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17113
熱海市で発生した土石流による甚大な被害を受け,土砂災害防止等に向けたハード対策の更なる推進が求められている.土石流は江戸時代から山津波とも呼称されており,これらの効果的な対策は古くて新しい課題である.近年,二次製品ブロックを活用した砂防や治山堰堤が全国的に採用されてきており,更なる高度化が期待されている.本研究では,従来のブロック堰堤と消波工を併用させた新たな堰堤形式を提案し,土石流捕捉時における安定性能や捕捉機能に関して,基礎的な実験や解析に基づいて考察している.実験結果によると,ブロック間の噛み合わせや透過性能,今回提案した消波工を併用した堰堤形式が,土石流等の段波に対する安定性能において有効である可能性が示唆された.また,透過性能を有するブロック堰堤において期待される新たな捕捉機能について提案し,解析モデルによりその効果を示した.