2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17116
ISPH法はprojection法に基づく粒子法であり,激流を含む自由表面流のロバストなシミュレーションが可能となると期待される.しかし,砕波のような激しい流れの場合,いわゆる引張不安定や階数落ちによる数値不安定が発生することがあり,手法の信頼性を向上させる理論面の発展が不可欠である.本研究では,非圧縮条件(密度一定と速度非発散)の厳密な充足に加えて,Reynoldsの輸送定理から導かれるNavier-Stokes方程式の離散化形式の信頼性も念頭に,離散化式レベルでの連続式の解像度を保証するためのISPH法の新しいスキームを2種類提案した.VEM/VCSと呼ばれる新しいスキームは,非圧縮条件を顕著に改善し,急斜面での激しい砕波のシミュレーションにおいても,連続式の計算誤差を縮小させた.