2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17128
設計波を超える波浪に対する海岸堤防の粘り強い構造に関しては、既往研究により複数の工法が検討されており,いずれも一定の効果が認められることが報告されている.また,海岸堤防の破壊に関しては,堤防表側の脆弱性が高いこと,その要因は堤防前面の洗掘によるものであることも示唆されている.
本研究では,既往小型模型実験で有効性が確認された矢板工を対象に,大型模型実験により堤防前面の洗掘から被災に至る過程を明らかにするとともに,粘り強い構造として必要な矢板長と洗掘深との関係を検討した.実験の結果,粘り強い構造として矢板工の工法を用いる場合は,堤防前面の最大洗掘深を考慮した地盤高で必要矢板長の計算を行うことが望ましいことが確認された.