土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
底質環境がカンムリゴカイ科多毛類の棲管形成に及ぼす影響
瀬戸 雅文巻口 範人
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17148

詳細
抄録

 北海道胆振海岸の白老と苫小牧に整備された人工リーフを対象として,カンムリゴカイ科多毛類による礁が成長する白老地先と,本種が確認されない苫小牧地先で,底質性状を比較したところ,苫小牧地先のシルト・粘土含有率は,白老地先の2.8倍高い値をとった.室内実験を実施して,本種の棲管が底質へ埋没した状態と浮遊砂内における,棲管形成能力と生残率を調べたところ,本種の生残率は,シルト・粘土含有率,埋没深度の増加により有意に低下した.棲管の内部への底質の堆積速度が棲管の伸長速度を上回ると,本種は棲管内で埋没し斃死するものと推測された.砕波帯内における浮遊砂濃度推定式より,本種の生息限界を推定し,苫小牧地先は生息が困難な環境である可能性が示された.

著者関連情報
© 2023 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top