2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17168
気象庁気象研究所の全球大気気候モデル(MRI-AGCM)にスラブ海洋モデルを結合したモデルにより独自の気候計算を実施し,顕著台風発生条件における台風の強度特性を評価した.70年間の9月平均海面水温分布に対してのクラスター分析を通じて,平均的な9月条件を想定した気候実験を行い,顕著台風発生条件と平均的9月条件での気候実験の比較を行った.また,将来の温暖化を想定した顕著台風発生条件における気候予測実験を実施した.台風の統計的特性について評価を行い,2018年Jebiが関西圏に被害をもたらした2018年9月条件では,自然変動を考慮しても強い台風が多く日本に接近及び上陸し,強い台風が発生しやすい条件であることを確認した.また,気候変動がもたらす台風の強度特性の変化として,強い台風の増加の傾向を得た.