土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
2022年台風14号の高潮に関する擬似温暖化進路アンサンブル実験
吉野 純栗野 優真小林 智尚
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2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17166

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抄録

 本研究では,力学的な気象-高潮結合モデルを用いて,2022年台風14号の擬似温暖化進路アンサンブル実験を行い,台風14号の強度や高潮に対して,台風の進路の違いの影響,台風の上陸の影響,および,温暖化の影響を定量化した.その結果,台風14号が九州を縦断することにより,地形の影響を受けて約+20hPa中心気圧が上昇し(減衰し),約-0.62m可能最大高潮を抑制し,その影響は無視できない規模であることが定量的に示された.また,将来気候下の同様の規模の台風が九州の西側の海上を北上する場合には,1) 温暖化の海水温上昇による強化,2) 上陸による減衰効果の抑制,3) 湾軸に沿う強い南風による吹き寄せ効果の卓越,により高潮の危険度が一層高まることが明らかとなった.

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© 2023 土木学会
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