2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17178
わが国の沿岸域には多くの有形・無形の文化財や観光資源,地域資源が点在しており,それらは地域経済や文化活動を支える重要な資産となっている.東日本大震災や西日本豪雨災害などでも見られたように,近年,沿岸域での大規模災害によってこうした伝統的文化財や観光資源が損なわれる機会が増加している.伝統的文化財はひとたび被災すると代償しがたく,観光資源や地域資源の損失についてもその後の復興過程にも大きな影響を及ぼすことが予想される.本研究では,大阪湾圏域沿岸自治体を対象に,国土数値情報等を活用した空間情報解析を実施し,文化財・観光資源・地域資源の被災リスクを検証した.その結果,大阪湾圏域には多くの地域資源・観光資源・指定文化財が存在することや,観光資源や指定文化財が地域資源よりも沿岸域に分布する割合が高いことなどが明らかにされた.