2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18013
本研究では,傾斜堤の性能維持手法として傾斜堤の前面に消波工を腹付した,複断面形状における波高伝達率を水理模型実験と数値計算で検討した.実験の結果,基本断面に対して傾斜堤の天端高がブロックの高さの1/3程度下がると波高伝達率は増加するが,腹付によって改善された.腹付は幅広く配置するよりも高く配置した方が効果的であり,ブロック2層厚を静水面付近の高さまで腹付することによって基本断面と同等の波高伝達率に保たれることがわかった.また,これらを数値計算で検討した結果,概ね実験結果を再現できることを確認した.さらに,天端高波高比Rc/HI>1の条件で場合分けすると実験結果に対するRMSEは減少し計算精度が向上した.