2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18016
酸化還元電位(ORP)は溶液中で酸化還元反応により生成される物質のエネルギー準位を測定するため,生物活性の高い干潟での水質環境を定性的に評価する指標として用いることができる.ただし,従来ORPセンサーは繊細な膜を通過したイオンのみの活量を内装電極で測定するため,生物が生息する自然環境下での連続的なモニタリングはできていない.酸化還元反応を膜なしで直接測定するセンサーは,電極に付着・吸着する海水中のイオンや藻類,有機泥などの懸濁物質の酸化還元反応を捉えるため,比較的容易に連続測定できる可能性がある.本研究では干潟等の生物活性の高い場における水質環境を測定評価するためのセンサーを干潟に設置して,約1年間測定した電極の劣化は認められず,測定電位の変化は電極周辺で起こる酸化還元反応を捉えることを確認した.