2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18041
最大規模の高潮は日本に接近した既往最大規模の台風に基づいて推定されるのが一般的である.その台風の中心気圧の再現期間は東京湾,伊勢湾及び大阪湾では500〜数千年とされているが,それによって生起された想定最大規模の高潮の再現期間は明らかではない.本研究では,入手可能であった観測潮位および潮位偏差の毎時データに基づいて,名古屋及び御前崎における想定最大規模の高潮の再現期間を推定した.観測潮位には高潮だけでなく,黒潮の流路変動などによって生じる異常潮位が含まれる場合があるので,本研究では高潮以外の異常潮位の影響を除去して解析することした.想定最大規模の潮位偏差の再現期間は,名古屋で約4,000年,これまで高い高潮が多くない御前崎では約28,000年であった.海域により高潮の再現期間が異なっている.