2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18042
杭基礎を用いた海洋構造物には, 様々な荷重レベルの水平方向荷重が多方向に繰返し作用する. 本研究では, 杭の根入れ長さと繰返し最大水平応力を変化させて繰返し水平力載荷時の杭の挙動が杭の根入れ長さの違いによってどのように変化するか検討した. その結果, 水平力を繰り返し受ける杭の挙動は, 最大水平力載荷時の根入れ比Er(=杭の根入れ長さ/曲げモーメントの第1ゼロ点の深さ)によって変化することがわかった. すなわち, 繰返し回数ごとの載荷点変位の変化率は, Er≧1.0であればErの影響をほとんど受けないが, Er<1.0になるとErが大きい時に比べて変化率が大きく変化した. このことから, 根入れ長さがEr<1.0となる荷重を繰り返し受けるときは, Erによって繰返し載荷による変位の増加の程度が変わることを考慮に入れた設計が必要となる.