2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18065
港湾工事の脱炭素化を効率的に進めるためには,設計段階においてCO2排出量を考慮した設計手法を構築し,設計段階で低炭素技術を幅広く導入することが重要である.これまで,幾つかの構造断面でCO2排出量の算定が実施されているが,同一設計条件下において安定性照査を満足する複数の構造形式でCO2排出量を比較・分析した事例はない.
本研究では,岸壁における構造形式の選定へのCO2排出量の感度を把握することを目的に,同一設計条件下で設定した3つの構造形式におけるCO2排出量や工事費用を算定し,各構造形式のCO2排出量の比較や工事費用との関係を考察した.その結果,ある一条件の結果ではあるものの,設計において最適化させるべき意思決定指標(工事費用,CO2排出量等)によって,選定される構造形式が変化する可能性があることが示唆された.