土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海洋開発)論文
大阪湾の都市沿岸部における干潟堆積有機物の分解特性
大谷 壮介東 和之上月 康則
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2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18104

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抄録

 本研究では大阪湾沿岸部における13地点の干潟の堆積物について,100日間の生分解試験によって有機物の易分解・難分解性の定量化を行うと同時に有機炭素の分解に及ぼす要因について底質環境との関係性を明らかにした.堆積有機物濃度であるSOCは0.35–30.7mg/gであった.そのうち,易分解性有機物濃度は0.03–9.37mg/g(9–75%),難分解性有機物濃度は0.32–23.2mg/g(25–91%)であった.易分解性有機物濃度はAVS,ORPと統計的に有意な相関関係が認められたが,二酸化炭素排出速度と相関関係は認められなかった.重回帰分析を用いて易分解性有機物濃度に及ぼす要因を抽出した結果,SOC,炭素安定同位体比,含水率の3つであった.以上のことから,大阪湾の都市沿岸部の干潟には海・陸起源の有機物が堆積しており,堆積物の有機炭素の大半は分解されずに貯留していた.

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© 2023 土木学会
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