2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18105
静岡県では,地域の歴史・文化や自然との共生,環境との調和などを踏まえた津波対策「静岡方式」が展開されており,「命山(津波避難マウンド)」や「津波避難タワー」,「津波避難ビル」などの津波避難施設が指定・整備されてきた.これらの施設は,今後も積極的に導入されるべきであるが,如何なる地域にどの施設が導入されているか,その津波避難施設の指定・整備実態は明らかにされていない.
そこで本研究では,津波避難施設の指定・整備要件を導出するため,南海トラフ地震により甚大な津波被害が予想される静岡県遠州灘沿岸地域に着目し,津波浸水域内における津波避難施設の立地環境や施設周辺の土地利用などの特徴を捉えた.その結果,5つの立地環境タイプと導入地域に適した津波避難施設を選定するための指定・整備要件を明らかにした.