2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18128
貞山運河は津波の遡上距離や浸水深の低減等,津波被害の軽減にある程度の寄与があったことが東日本大震災後の調査で報告されている.その中で,運河のような掘り込み地形が背後の構造物に作用する津波流体力をどの程度軽減する機能を持つのかについては,具体的に検討した事例は見当たらない.本研究では,運河を模した掘り込み地形が構造物前面の津波浸水深や構造物に作用する津波流体力に及ぼす影響について,三次元数値波動水路(Cadmas-Surf/3D)を用いて検討することを目的とした.検討の結果,構造物前面の津波浸水深や構造物に作用する津波流体力は,掘り込み地形によって低減され,その低減効果は掘り込み地形の深さに強く関係することを示した.