2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18132
護岸や岸壁などの港湾施設の背後地盤において,水理外力の継続的な作用によって裏埋砂が吸い出され,それに伴う空洞形成及び地盤の陥没が全国的な問題となっている.一方,裏埋砂として用いる海砂は,貝殻等を多く含む場合があり,粒子形状が珪砂と顕著に異なりうるが,その影響について十分な検討がなされていない.本研究では,同じ粒度分布特性を持つ海砂及び珪砂を対象とし,降雨や越波等の水理外力作用下における地盤内の吸い出しによる空洞形成及び陥没過程について詳細に検討した.その結果,裏埋砂の粒子形状の違いに起因して地盤内に発達するサクションの違いが吸い出しから空洞形成及び地盤の陥没に至るまでの一連の過程に強い影響を及ぼしていることが明らかになった.