2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18175
近年,豪雨イベントの甚大化・頻発化によって九州沿岸域には流木を代表とする大量の漂流物が漂着している.それらの漂流物は船舶の航行障害や漁業,海岸保全施設の機能阻害など多方面に悪影響を及ぼしており,本研究では流木の回収効率の向上を目的に,非構造格子モデルをベースに流木の漂流に特化した粒子追跡モデルを構築した.検討対象期間は近年九州沿岸域における漂流漂着被害のあった令和2年7月豪雨と令和4年台風14号とし,流木の挙動をシミュレーションした.実際の流木の漂着場所とシミュレーション結果が示す漂流物の回収場所が概ね一致したことからモデルの妥当性を確認した後,九州沿岸の様々な沿岸域での漂流経路や発生元を検討することで,漂流流木の回収効率の向上および対応策の検討に寄与する成果を得ることを目的とする.