2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18185
従来,わが国では水揚げされた魚介類は品質が低い,採算ベースに乗らないなど理由がある場合は流通されず,大部分が廃棄されている.養殖アオノリにおいても等級が低いと焼却処分されており,有益な活用技術はほとんど確立されていない.本研究では,廃棄アオノリを有効利用するため,再生紙を製作し,試験紙の力学特性,インクの浸透性,表面の色の特徴を明らかにすることを目的とした.
半紙とアオノリを混合させた試験紙は,密度は増加するものの通気性があり,混合割合に応じて引張強さと比破裂強さは増加し,一方,水分の吸収性は低下した.アオノリの混合割合が30%の紙パックの試験紙が今回測定した全8種類のなかでは引張強さ,比破裂強さが大きいことが示された.これらの特性を活かし,用途に応じて使用すれば,アオノリ廃棄量減少につながると考えている.