2023 年 79 巻 2 号 論文ID: 22-00207
模擬地震動作成時の位相の設定方法には,標準的なものとしては波形の包絡形状を規定する方法があるが,サイト固有の位相特性を反映できないこと等から,近年では位相特性の客観的かつ定量的な指標として群遅延時間が注目され,これを用いた模擬地震動作成方法が研究されている.その一般的な方法は,所定の確率分布に従う群遅延時間を振動数軸上でランダムに発生させて位相を決定するというものであるが,作成波は左右対称に近い包絡形状になる・ピークが集中する傾向がある・ノイズ成分が目立つ等の課題・留意点が認められる.そこで本研究では,波形の包絡線関数と群遅延時間のばらつきを関係付けることにより,波の包絡形状の設定とサイトの位相特性の反映とを両立できる新たな模擬地震動の作成方法を提案した.