2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20019
本稿ではライフラインの復旧期間を考慮した企業の操業能力の復旧曲線を提案した.具体的には 2022 年福島県沖の地震における被害調査データを用い,操業能力の回復過程をセミ・マルコフ過程でモデル化するとともに,ライフラインの復旧日数を用いた操業能力水準の滞在時間分布を推計し,実際の回復データと整合的なリカバリーカーブを構築した.これにより福島県沖の地震における企業の操業能力のリカバリ ー実態を明らかとした.本提案手法はライフラインの復旧日数からリカバリーカーブを推定するため,ライフラインの復旧速度の向上が企業の操業能力の回復速度に与える影響を定量評価することが可能であり,ライフラインの地震対策の実施に対する費用対効果の検討等にも有用な手法と考えられる.