2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20056
インバウンド需要の回復に向けて,鉄道事業者は訪日外国人旅行者の受入環境整備を目的とした施策に取り組んでいる.旅行者の鉄道利用状況から周遊行動が把握できれば,旅行商品の開発や輸送計画の改善に活用可能だと考えられる.本研究では,大都市圏内を周遊する訪日外国人旅行者の利便性向上に資する,鉄道事業者の施策に活用可能な知見を得ることを目的とした.具体的には訪日外国人旅行者のみを対象とした鉄道利用データの中から降車した駅の組合せに着目し,トピックモデルを用いて周遊パターンを抽出した.その結果,大都市圏内における訪日外国人旅行者の周遊パターンの特徴が周遊都道府県,利用路線,観光地分類,出現時期の観点から把握可能となり,鉄道事業者にとって旅行者の周遊促進や輸送計画改善につながる施策を提案できることを示した.