2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20055
東日本大震災後,徒歩避難が困難な人や地域の存在を鑑み,自動車を用いた津波避難を容認する動きが見られ,最近の津波浸水想定の見直しにより拡大しつつある.しかし現時点では,避難者の空間分布により交通集中箇所が変化することを踏まえた分析はなされておらず,期待したような安全性が確保できるかは不明である.本研究では,少数の避難経路群を事前に準備して住民への周知や訓練を実施しておいた上で,発災時の避難者空間分布に合わせて実際に使う経路を指示する「事前経路周知+指示」という方法を想定し,技術的な課題と運用上の課題を述べ,前者の課題の核心となる多様な避難者空間分布に対応できる少数の周知経路群の準備方法を検討する.