2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20072
日本が長期の人口減少局面に突入したことで,一定の商圏人口が必要とされている施設が撤退し,今後高次都市機能へのアクセスが難しくなる恐れがある.そこで本研究では,人口減少下の中核市とその周辺市町村の拠点を対象とし,類型化を踏まえて施設の立地状況の傾向を把握した.分析の結果,現状では施設を有していても,将来的に自拠点単体での施設確保が困難な拠点が増えることが明らかとなった.他拠点と連携して施設補完を行うことで,施設の確保が可能になる拠点が存在するなど,今後の広域的な拠点間連携の重要性をデータとして示すことができた.拠点の維持を考える際には,拠点内の施設立地動向だけでなく,他拠点へのアクセス状況などの拠点間ネットワークも含めた広域的な視点での検討が重要だと示唆される.