2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25028
超高速スキャン蛍光分光光度計を用いたLC-EEMにより,少量試料数でフミン質構成成分をより詳細かつ簡単に明らかにする手法を検討した.Offline-EEM-PARAFACでは,EEM測定中にマイクロプレートウェル内での励起光照射位置を均一に保つことができず,フミン質構成成分の分離・分析に失敗した.一方で,超高速スキャン蛍光分光光度計を検出器とするInline-EEMでは,生成された3次元配列がTrilinearityを満たすことが判明した.11河川水試料から得られた275のEEMスペクトルをPARAFAC解析に供した結果,スペクトルは4種類の成分に分離され,挙動を把握することが困難とされるフルボ酸も含めたフミン質構成成分の増減を把握することができた.開発した手法を適用することで,浄水処理過程においてDBPs-FPを簡潔かつ高精度に予測できるようになると考えられる.