2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25034
本研究では溶存酸素(Dissolved Oxygen: DO)濃度が好気性脱窒活性および脱窒細菌群集に与える影響について検討した. 従来用いられてきた振盪培養法ではDO濃度を一定に制御できないため, 本研究では曝気制御によりDO濃度を一定に保持する装置を構築し, 低DO(3±1mg/L), 中DO(5±1mg/L), 高DO(7±2 mg/L)条件で好気性脱窒試験を行った. いずれの好気条件下でもNH4+-N, CODCrと同時にNO3--N濃度が減少し, 硝化反応と同時に好気性脱窒反応が進行した. 16S rRNA遺伝子に基づいた原核生物群集構造解析では独立栄養性の好気性アンモニア酸化細菌/古細菌の存在が確認されず, 好気性脱窒細菌(従属栄養性細菌)によるアンモニア酸化反応が示唆された. 高DO条件ほど微生物群集構造は単純化し, 高DO, 低DO条件ではそれぞれParacoccus属, Pseudomonas属細菌が優占化した.