2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25037
ヒ素汚染土壌・堆積物中の亜ヒ酸(As(III))の不溶化手法を開発するための基礎的知見を得るために,K2FeO4と浄水汚泥を併用する手法を検討した.水試料中のAs(III)をヒ酸(As(V))に酸化し,そのAs(V)を不溶化することで溶解性As濃度を水質環境基準値未満に低減できた.この不溶化処理後の水試料が弱酸性や弱塩基性に曝されても As の再溶解は抑制された.また,亜ジチオン酸塩により還元的雰囲気に曝した場合,K2FeO4単独の処理ではAsが再溶解したが,浄水汚泥との併用での処理ではAsの再溶解は抑制された.K2FeO4と浄水汚泥を併用する手法は,K2FeO4の使用量を低減でき,処理後の不溶化物が地中に埋設された後に弱酸性・弱塩基性や還元状態に曝されてもAsの再溶解を抑制できる可能性が示唆された.