日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[成人心臓]
疣贅塞栓による急性心筋梗塞を発症した大動脈弁位人工弁感染性心内膜炎の1例
大山 翔吾大﨑 洸田林 東岩瀬 友幸熊谷 和也小泉 淳一鎌田 武坪井 潤一金 一
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 48 巻 1 号 p. 56-59

詳細
抄録

症例は68歳,男性.2017年1月に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術(CEP MAGNA 25 mm Edwards Lifescience Corporation,Irvine,USA)および無症候性心筋虚血に対して大伏在静脈(saphenous vein graft;以下SVG)を用いた冠動脈バイパス術2枝(SVG-#7,SVG-4PD)を施行した.2017年11月近医外来に1週間以上続く,微熱を主訴に来院した.微熱以外の自覚症状は特に認めなかった.心臓超音波検査で人工弁感染性心内膜炎(Prosthetic Valve Endocarditis;以下PVE)を疑われ,当院へ紹介となった.入院翌日に胸部不快感を自覚し,緊急心臓カテーテル検査を施行したところ,左冠動脈主幹部に血栓によると思われる病変が認められ,血栓吸引を行った.しかし,血流の改善が得られず,冠動脈バイパス術を施行されていない回旋枝の血流改善目的に経皮的古典的バルーン血管形成を追加し,血流の改善が認められた.この際に吸引した血栓を培養に提出したところ,入院時に提出した血液培養と同様のStreptococcus pasteurianusが検出された.経食道心臓超音波検査で左冠尖に相当する弁尖に感染性疣腫を疑う所見を指摘された.以上よりPVEおよび疣贅に伴う冠動脈閉塞再発予防を目的とし,再大動脈弁置換術(Crown PRT 23 mm Sorin Group,Burnaby,Canada)を施行した.術後29日目に抗菌薬による加療継続目的に近医へ転院となった.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top