2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25052
下水中に含まれる病原微生物をモニタリングすることによって集水エリア内における感染症の流行状況を把握することができ,この下水ウイルス情報の活用が検討されている.本研究は,仙台市民を対象にアンケート調査を実施し,下水ウイルス情報としての仙台市内での1週間あたりのCOVID-19予測感染者数の規模が人々の外出行動の変化に与える影響を明らかにすることを目的とした.分析の結果,罹患経験とワクチン接種回数は外出行動の変化と有意な関係がなく,影響を確認できなかった.予測感染者数として12,000人と1,200人を提示したところ,1,200人の場合において,感染リスク認知が高いほど,また,外出に対する不安が大きいほど新たに実施した感染対策の種類数が多く,変化の程度も大きいことが明らかになった.