2023 年 79 巻 26 号 論文ID: 23-26001
COVID-19流行下における自動車CO2排出量の変化の追跡と要因解明は今後の脱炭素社会実現に向けた急務であるが,従来のデータや手法では我が国における詳細な変化を捉えることは困難であった.本研究では流行下5時点における個人の生活行動データを用いることで,都市別の自動車CO2排出量を推計し変化の様子を明らかにした.その結果,流行初期には外出自粛によって自動車CO2排出量が減少していたが,流行長期化の中で,感染拡大期のテレワーク実施率の大きな高まりはむしろ自動車CO2排出量の減少につながらないという関係性に変化していることが分かった.また中・長期的には流行前よりも自動車CO2排出量が増加している都市が多いことが分かった.COVID-19流行による全国的な環境負荷の高まりとテレワークの影響は,今後の脱炭素型まちづくりを考えるうえで看過できない傾向であろう.