2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27017
河川上流域の森林は,水源涵養や土砂流出防止などの機能がある.特に土砂流出は,流域の地形や地質,植生などの多くの要因が複雑に関係しており,様々な土砂流出モデルが提案されているものの森林管理を考慮したモデルはほとんど見当たらない.本研究の対象地である小河内ダム流域は,東京都水道局が長年管理し,森林の様々なデータを記録してきた.そのため本研究では,森林管理の特徴について分析を行い,さらに現地調査を行って,樹高や立木密度,土壌の被覆率などを測定した.これらを用いて,樹高,枝下高さ,樹冠開空度などのパラメーターから土壌浸食式を構築した.その後,流域の森林小班ごとに土壌浸食式を適用し,土砂流出の度合いが大きい箇所を視覚化した.その結果,東京都が管理する森林では民有林に比べ土砂流出が少ないことが示された.