2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27033
近年,気候変動による自然災害の激甚化・頻発化が懸念されている.交通分野において自然災害の影響は大きく,例えば鉄道が長期不通や廃止に追い込まれる事例は多数発生している.交通ネットワークについて,気候変動の影響を踏まえて水害対策を推進していくことは喫緊の課題であると言える.そこで本研究では,全国の鉄道路線を対象とした現在と将来における水害リスクの評価を目的とする.水害リスクの評価因数として“ハザード”,“曝露”,“脆弱性”を定義し,それらの積をとることで各路線の“水害リスク値”を算出する.分析を行った結果,20世紀末と比較して21世紀末の水害リスクは持続可能シナリオでは微増するのに対し,化石燃料に依存するシナリオでは大幅に増加するという結果が得られた.