2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27046
北海道における代表的な2つの豪雨災害はそれぞれ2016年台風10号および1981年台風12号の接近・通過時に発生した.本研究では当該事例を対象に気象場分析を実施したことで,両台風が低緯度帯の低圧部において発生し,太平洋高気圧の北東偏により太平洋を北上して北海道に接近した後,西側に存在する寒冷渦に向かって進行していたことを示した.どちらの事例においても山脈沿いに降雨が集中したが,北海道付近に前線が存在していた1981年台風12号の事例では前線沿いにおいても大雨となった.台風と前線が存在する気象場で降雨量が少ない事例も過去に確認された.さらに,2つの事例と同様の気象場の組み合わせを持つ事例は1958年以降,他に存在しなかったことを明らかにした.