2023 年 79 巻 3 号 論文ID: 22-00029
開発途上国では自家用車・オートバイの普及が急速に進んでいる.経済成長に伴いオートバイから自家用車中心へシフトすると想定されてきたが,アジアでは,経済成長を経ても自家用車への転換が緩やかな都市や,自家用車の普及が先行しながらオートバイが追従・逆転した都市が確認されている.本研究は,アジア大都市における自家用車・オートバイの保有率を整理し,両者の普及経緯について,道路整備と都市規模の観点より分析する.
分析の結果,私的交通の普及パターンに影響を及ぼす要因として,人口密度と道路整備水準が考えられ,市街地が高密かつ道路空間が限られている都市ではオートバイから自家用車への転換が行われない可能性が示された.交通政策への提言にあたり,道路面積に関するデータの重要性が示唆された.