2023 年 79 巻 3 号 論文ID: 22-00037
本研究は,社会基盤整備の住民説明会における住民側発言の一般的傾向を把握することを目的とし,NIMBY性を持つ14事業の議事録を用いて,住民側参加者の発言内容を分析した.分析の結果,NIMBY性の高い事業では,住民側の発言が多様であり,発言数も多くなる傾向がうかがえた.決定手続き,リスク管理,決定への疑義,誹謗中傷に関する住民発言が増えることも示唆された.特に,NIMBY性の高い事業では,誹謗中傷や各種の疑義といった攻撃的な発言が参加者から多く発されていた.これらを踏まえ,厳しい質疑が予想される場合には,説明者側は心理面も含めた準備を行い,誠実で分かりやすい説明を行うことや,平素から信頼醸成に努めることにより,協議の厳しさが軽減される可能性が考察された.