2023 年 79 巻 3 号 論文ID: 22-00055
スイスではBahn 2000という幹線鉄道政策が1987年に開始され,最小限の投資による新線建設や路線改良等によって主要駅での乗り継ぎ利便性を大きく向上させ,乗客数を伸ばした.本研究に至る研究において政策実施の直前直後を比較する分析を行ったが,政策背景調査の不足,政策実施前に行われた試行的な施策の分析の未実施,政策実施直後の2005年には未整備区間が残存した等の課題があったため,本研究はそれらに対応したものである.本研究の結果,Bahn 2000実施前の1982年において主要路線で増便と等間隔ダイヤ導入が行われ,待ち時間や乗り継ぎ時間等が大きく削減されたことがわかった.また,政策実施後の評価を2015年に変更したことでその間に路線整備が進行し,乗り継ぎ改善効果をより正確に評価できた.