2023 年 79 巻 3 号 論文ID: F3-0127
近年,多大な人的被害を及ぼす豪雨に伴う激甚な土砂災害が起こっている.土砂災害発生時には,迅速な土砂災害調査が必要である.そこで我々は,マルチバンド受信機を使用することで,作業効率や調査員の安全性の向上を目指す災害調査支援システムを開発している.本稿では,広島県の災害復旧現場において,開発するシステムに使用する受信機の測位性能を評価する.劣悪環境下における定点測位精度の確認を目的とした砂防堰堤における実験では,水平方向の測位結果のばらつきが22mm(2DRMS)以下であることを確認した.森林中の測位性能の確認を目的とした森林中における実験では,水平方向の測位結果のばらつきが0.65m(2DRMS)以下であることを確認した.この結果,土砂災害調査におけるマルチバンド受信機の有用性が確認できた.